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第6節 [テックスメックス]

なかなかブログの進行が捗らず、ご迷惑をおかけいたしております。
このテックスメックスのご案内は、1節を10のブログを単位とし、それぞれの節でゆるめのテーマを示し、それをもとにアルバムをレヴューするというスタイルをとってきました。
しかし第6節はトピックな話題を気軽に書いていく、という方針に変更し、その結果、ブログ投稿の間隔が以上にあいてしまう、という失態にいたってしまいました。
ひとつひとつの記事は、それなりに意味はあると思いますが、ブログの流れとしてはマンネリに陥ってしまった、といって過言ではありません。
そこで、というのも調子よすぎるかもしれませんが、ここでいったん第6節を締めることにしました。
このブログは、ここでやめにせず、第7節に入ります。
第5節の後記にも書きましたが、第7節はアコーディオンを主役として、テックスメックスにアプローチしてみたいと思います。
すでにいくつか文献を読みあさり、CDも聴きまくっています。
もう少し準備はかかりますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。
皆さんにはご迷惑をおかけいたし、深くお詫びを申し上げます。
とくに、直接的、間接的にご心配くださいましたかたがたには、お気持ちが身にしみました。
ということで、第6節は今回をもって終わりとし、次回より第7節に入ります。
遠からず第7節のアップが出来るよう準備に邁進いたします。

吾妻虎太郎 こと 長谷雅春


最近の動向から [テックスメックス]

ご無沙汰しております。
久しぶりのブログ投稿です。
最近の動向から。

まず、2010年グラミー賞から。

すでにご存知かもしれませんが、Los Texmaniacs の Borders Y Bailes が受賞しました。
レーベルは、Smithsonian Folkways Recordings.
とりあえずSmithsonian FolkwaysのFacebookにあるyoutubeから。
彼らは、サンアントニオの新しい世代のコンフント。メンバーのMax BacaはFlacoのバックも務めました。

http://ja-jp.facebook.com/video/video.php?v=1122167694471

なお、今回の候補者になったアーティスト映像等を紹介しておきます。
Stefani Montiel 

グラマーなテハーナ。ポスト・セリーナの一翼、という感じ。
彼女のパフォーマンスです。
http://www.youtube.com/watch?v=1o6yOosvluQ&feature=related

Jay Perez
ムシカ・テハーナのヒーロー。アコーディオンの名人、David Lee Garzaとの共演です。

http://www.youtube.com/watch?v=GZ_lwLhzAUs&feature=related

Joe Posada

彼はベテラン・サックス奏者。
80年代から多くのアルバムを出していましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=qixfDPjR06A

Sunny Sauceda Y Todo Eso

youtubeを調べればいろいろありますが、どれも画質がよくないので、youtubeのオーディオから。

Sunny Sauceda名義の演奏です。

コンテンポラリーなコンフントサウンド。
こういう音があるから、この音楽を聞き続けるんだなあ、と思わせるサウンド。
音の成熟度からいったら、こちらのほうが上質とも思うんだけど。

http://www.youtube.com/watch?v=7u8tylZ7ABg

以上、グラミー賞関係から。

次は、Texas Tornadosの新譜はこちら。

http://www.nodepression.com/profiles/blogs/cd-review-of-the-texas?xg_source=activity

Esta Bueno. SDQとTexmexexperiencesの混成チームといった感じ。

このメンバーで来日したら、楽しいかもしれませんね。

料金安くしてね。

因みにアルバムは3月2日発売とのことで、わたくしは予約しましたが、まだ入手していません。
手に入ったらレヴュー書きます。

以上、Texas Tornadosの新譜から。

最後は、ビックリ。

Steve Jordanが新譜を出したようです。

ジャケットはこんな感じ。

http://www.estebanjordan.com/

レヴューは以下のとおり。

http://www.estebanjordan.com/carta-review.html

しかし、入手するまで大変そう。彼自身のレーベルからの発売で、アメリカ国内のみみたいです。

最後は今年度のコンフントフェスのお知らせ。

スケジュールは以下のとおり。

http://www.guadalupeculturalarts.org/xicanomusic/tcfsched.htm

ずいぶんブログさぼってしまったけど、その間でも世界は常に動いていたし、これからも動き続けるのですね。
んーん、なんかガリレオ・ガリレイのつぶやきみたいだ。

今後もフォローしていきます。

あと、なんとか頑張ってアコーディオンのことを書いてみたいと思う今日このごろです。

吾妻虎太郎こと長谷雅春



















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Little Joe(4) [テックスメックス]

LittleJoeATributeToSunny2.jpg

今回取り上げるのはLittle Joe。
昨年(08年)に発表されたSonny Ozunaへのトリビュートアルバムです。
Little Joeはその前年(07年)には、Freddy Fenderへのトリビュートアルバムでグラミー賞を授賞しています。
前々回取り上げた、弟のJohnny Hernamdezのアルバムも、古いロックンロールやブルースのカバー集だったことを見れば、07年から08年にかけての、Little Joe周辺の懐古的な傾向の背景には、過去の自分たちの音楽やバックボーンの確認という、かなり強い意志があったのではと思われます。
Little Joeの発売・権利関係は、相変わらずややこしくて、今回のSunny Ozunaへのトリビュートは、ラ・ファミリアエンタープライズの制作、TDIからの発売で、販売はサンアントニオのCE distoributors。
このなかで、サイトが明示されてるのはCE distoributorsです。
http://www.cemusicalatina.com/Artists/Little%20Joe/Pg-LittleJoe.htm
リストに、このアルバムはありませんでしたね。
僕は、昨年、アマゾンから来た新譜案内のメールで知りました。
さてこの"A Tribute To Sunny Ozuna"は、冒頭にSunnyへの思いが語られ、最後に、Sunnyへの感謝で終わる、というLittle Joeの熱い思いに満ち溢れたアルバムです。
収録曲はぜんぶで10曲、Sunny Ozunaの英語による一連のヒット曲は、"Talk to Me", "Golly Gee","Put Me in Jail", "Rags to richesの4曲が収録されているが、スペイン語の曲も6曲収録され、そのうち3曲は、Sunnyの作曲となっています。あと2曲はJose alfred Jimenezの曲、もう1曲はFerrusquillaという人の作品。
こういう企画は凡庸で新鮮さに欠ける失敗に陥りかねないけど、Little Joeは彼一流の手法によって見事にそれを回避しています。
Sunnyへの思いがサウンドの細部にまで行き渡り、みごとなオルケスタサウンドになっています。
サックスとトランペットを要したオルケスタサウンドは昔のまま。
さらにいくつかの曲で、ストリングス、電子楽器、デジタル録音の透明感がゴージャスなムードを演出しています。
これらの曲はすべてサンアントニオのスタジオで録音したので、ミックスはサンアントニオかダラスのスタジオ。こんなところにも、なんとなく彼のこだわりが感じられます。
驚異的なパワーでいまも活躍を続けるLittle Joe。
彼のパワーを改めて認識させられたアルバム、といってよいかもしれません。








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Little Joe y La Familia and Texas Tornedosのお知らせ [テックスメックス]

ご無沙汰しております。

突然ですが、Little Joe y La Familia and Texas Tornedos のライブがあるそうです。

ニューメキシコ、アルバカーキ近辺のカジノホテル、ルート66です。

サイトは以下のとおり。

http://www.rt66casino.com/node/620

次回からは、もっときちんとしたレビュー書きます。

長い間休んでしまい、申し訳ありません。



Johnny Hernandez(2) [テックスメックス]

johnnyhernandez.jpg

これは2007年に発表されたJohnny Hernandezのアルバム"This Time(again)",オルケスタでもなく、ムシカ・テハーナでもない。
彼が若いころジュークボックスで聞いていた音楽、"Sweet Home Chicago", "Down Home Blues","Kansas City", "Stagger Lee","Just a Dream" などのスタンダードが取り上げられており、
Doug Sohm の"Juke Box Music"と似た(というか同じ)コンセプトという印象。

"Further On Up the Road"ほかの映像を紹介しておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=X5E_H_B4mKI&feature=related


レーベルはヒューストンのStronghold Records、ミュージシャンはVick"Nash"Epinoza(gt., b., piano., synthesaizerなど)、David Apodaca (Dr.)、ほか。
きっちりしたアレンジ、安定した演奏のもと、彼の円熟した味わいボーカルが聞けます。そのレンジは、ブルース、オールディーズ、ロックンロール、ドゥーワップなど、50年代から60年代初期のオールディー全般にわたっており、オリジナルの("Wicked Wicked Woman")もおしゃれなブルースに仕上げっています。
曲は、いまさらといった感じの有名曲ばかりだし、アレンジも素直。
ということは、よっぽど付加価値がないと、彼のファン以外は聞く気にはなれないと思うけど、聞いてみると、彼の歌に惹き込まれてしまった、というのが素直な感想。
ひとつひとつのスタンダード曲に対する彼の理解が深い、ということもあるんじゃないか。
要は、60年代以後登場したチカーノアーティストたちの米国音楽への理解度とセンスの良さを、このアルバムが証明しているような気がしています。
アルバムの最後をスペイン語の"Todo Me Gusta De Mi"(ラテンロック)で終わらせている、というのも興味深い。







第28回コンフント・フェスティバル [テックスメックス]

恒例になっている第28回コンフント・フェスティバルが5月5日から、サン・アントニオで開催されます。

主なスケジュールは以下のとおり。

Tuesday, May 5
Guadalupe Theatre/9-11am
Free Admission for Senior Citizens

Seniors Conjunto Dance
Featuring Conjunto Music Hall of Famers El Pavo Grande Salvador García and Eddie “Lalo” Torres y Anita Paíz y su Conjunto

Wednesday, May 6
Guadalupe Theatre
7-9pm/Free Admission

Best of the Tejano Conjunto Festival CD Release Party
20th Anniversary of The Best of the 8th Annual Tejano Conjunto Festival 1989 The Best of the 27th Annual Tejano Conjunto Festival 2008

Thursday, May 7
Rosedale Park
5:30-11pm/$12 per person*

5:30 Opening Ceremonies & TCF Poster Contest Awards
6:00 Los Hermanos De León
7:00 Los Badd Boyz del Valle
8:00 Sunny Sauceda
9:00 Joel Guzmán & Sarah Fox
Special Tribute to Esteban Jordán
10:00 Esteban Jordán y su Rio Jordán

Friday, May 8
Rosedale Park
7pm-12am/$13 per person*

Puro Conjunto Pesado
7:00 Bene Medina y el Conjunto Águila
8:00 Los Monarcas de Pete y Mario Díaz
9:00 Ricky Naranjo y Los Gamblers
10:00 Cuatro Rosas
11:00 Los Dos Gilbertos

Saturday, May 9
Rosedale Park
2pm-12am/$15 per person*

Puro Conjunto Pesado
2:00 Conjunto Heritage Taller/Conjunto Palo Alto
3:00 Chano Cadena y su Conjunto
4:00 Ricardo Guzmán y Los Tres Aces
5:00 Conjunto Borrego de Jesse Borrego Sr. y Jr.
6:00 Johnny “El Brujo” Cruz and the Texas Chain Gang
7:00 Los Cuatro Vientos de Jimmy Bejarano
8:00 Eva Ybarra y su Conjunto
9:00 Oscar Hernández and the Tuff Band
10:00 Rubén Vela y su Conjunto
11:00 Mingo Saldívar y sus Tremendos Cuatro Espadas

May 7-9 (Thursday-Saturday)
Button Accordion and Bajo Sexto Workshops


オフィシャルサイトは以下のとおり。

http://www.guadalupeculturalarts.org/xicanomusic/tcfsched.htm

注目は、5月7日、Steve Jordanに捧げられた夜ですね。
彼の前には、Joel Guzman and Sara Foxというのも興味を惹かれます。

mixi内コミュニティでは、餃子さんにより、フェスに先立つイベントでのSteve のステージが紹介されています(申し訳ありません。mixi限定です)。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=42079055&comm_id=551700

昨年夏くらいから、わたしの回りでもSteve Jordanの健康を心配する声があちこちで聞こえていました。

もしかしたら、youtubeで彼の最新の映像が見られるかもしれませんね。




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Doug Sahm tribute [テックスメックス]

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ご無沙汰しております。
今回取り上げるのは、コンフントでもなく、テハーナでもありません。今年で没後10年のDoug Sahm。彼へのトリビュートアルバムです。

http://www.amazon.co.jp/Keep-Your-Soul-Tribute-Doug/dp/B001QEIHVS/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=music&qid=1238631437&sr=8-2



今年はDoug Sahmをめぐる動きが活発で、Texsa Tornadosも再編されたようです。

http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewProfile&friendID=210215676

メンバーは、Flaco Jimenez- Accordian, Augie Meyers- Accordian, Keyboard, Vocals Shawn Sahm- Guitar, Vocals, Background Vocals Louie Ortega- Guitar, Vocals, Background Vocals Speedy Sparks- Bass Ernie Durawa- Drums Michael Guerra- Bajo.

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このメンバーは、トリビュート・アルバムのJoe King Carrasco(懐かしい!!)のセッションでバックを務めていますね。ワールドツアーも視野に入れているようなので、運が良ければ、日本に来るかも。
さて、本題。
このトリビュート・アルバム。レーベルは、なんとバンガード。1960年代、フォーク・ソングやジャズのアルバムを配給していた、あのレコード会社ですね。

さてその内容について興味深いところをピックアップしてみると。
1曲目、Doug の代表曲、"She's About a Mover"。
Little Willie G.はもちろんイーストLAの伝説的なバンド、Los Lobosにも多大な影響を与えたThee Midnightersのリードボーカル。おそらく60年代、彼らはSDQ といっしょにツアーとかしてたんじゃないかな。プロデュースはRy Cooder。エッジが効いいて、フォークソングっぽいフィンガーピッキングスタイルのギターが面白い。
2曲目はそのLos Lobos。"And It Didn't Even Bring Me Down"。
1960年代ロスアンジェルスのロマンチックなバラードを、LAスタイルで。この曲では、Doug のソングライターとしての才能が再認識できます。蛇足ですが、Cesar Rosasが、バホ・セストで"She's about a Mover"を演奏してたのを覚えています。
6曲目は、Flaco Jimenez with the West Side Horns, "Ta Bueno Compadre (It's OK Friend)",プロデュースはDoug の息子、Shawn。
Westside Hornsといえば、Rocky Morales, Charlie Mcburneyの名前が思い出されますが、ここでは、Al Gomez、Louie Bustosの二人のみ。演奏は、Flaco, Augieらゆかりのアーティストたちで、リードボーカルはFlaco Band,Texmex ExperienceのNuie Rubio、ドラムはもう一人のDougの息子、Shandon。アレンジは少しマリアッチ風。
9曲目、Jimmie Vaughan, "Why, Why, Why"。元Fabulous ThanderbirdsのJimmie Baughanは60年代初期、Dougのデヴュー当時の雰囲気を再現した、West Side Ballad。ギター、ボーカル、ともにかっこいい。
13曲目、軽快な演奏のJoe "King" Carrasco & Texas Tornados, "Adios Mexico".最初にもちょっと触れたTexas Tornedosがバックで、Shawnのプロデュースです。アコーディオンの音が聞こえてくるけどクレジットなし。たぶん、Michael Guerraでしょう。Joe "King" Carrascoは、公への登場はほんとに久しぶり、という感じ。
以上、この『テックスメックスのご案内』に関連した曲を選んでレビューしてみましたが、全14曲、Doug Sahmの音楽を形成しているさまざまな側面と、彼の作曲家としての優れた資質が浮かび上がってくる、興味深いコンピュレーションとなっています。















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グラミー賞 [テックスメックス]

この第6節は、軽い感じで、比較的最近のアルバムを取り上げていこうと思ってたら、生活に流され、またまた間隔が空いてしまいました。

今回は、2009年グラミー賞の話題から。

 ベスト・テハーノ・アルバム(カテゴリー63)

 受賞アルバムは、Ruben Ramosのこれです。
* V i v a L a R e v o l u c i o n
R u b e n R a m o s & T h e M e x i c a n R e v o l u t i o n
[ R e v o l u t i o n R e c o r d s ]

 未聴ですが、すごくよさそう。

 彼のオフィシャルサイトは以下のとおり。

http://www.rubenramos.com/

 今回の候補アルバムは以下のとおり。

* M u s i c L e s s o n s
C h e n t e B a r r e r a y T a c o n a z o
[ Q v o R e c o r d s ]

  * F r i e n d s & L e g e n d s
J o e P o s a d a
[ B a b y D u d e R e c o r d s ]
 
 Joe Posadaは80年代から活躍しているサックス・プレイヤー。元Brave ComboのBubba Hernandezも、いっしょに演奏したことがあると言っていました。
 youtubeに映像がけっこうあるのでご覧になってください。
 http://www.youtube.com/watch?v=EZhu08ECaKw


ほかたくさんあります。

* A l l T h a t J a z z . . .
T o r t i l l a F a c t o r y
[ T o r t i l l a R e c o r d s ]

 こちらはベテランオルケスタ。いまでもアルバム発表していますね。
 実は、僕も1990年くらいに発表したアルバムをもってて前節で紹介しようと思ったんですが、内容が80年代のラテンフュージョンみたいな演奏で、コンフントやオルケスタのスタイルとあまりにもかけ離れており、取り上げるのを辞めました。このアルバムも直感としては、同じようにコンフントやオルケスタのスタイルとかけ離れている感じがしますなあ。まあ聞いてみないとわかりませんね。

* H e i r T o T h e T h r o n e
A l b e r t Z a m o r a
[ F r e d d i e R e c o r d s ]

 Albert Aamoraのアルバムは、以前はHaciendaからたくさんアルバムを出されていましたが、近年はFreddieから。
 彼はこのブログでも、一枚紹介しましたが、熱狂的なライブ・パフォーマンスを行うアコーディオン・プレイヤーですね。
改めて、こんな人です。

http://www.youtube.com/watch?v=55Hotzi1dPw

 次にベスト・ノルテーニョ・アルバム(カテゴリー64)。
 受賞作は、以下のとおり(去年も彼らじゃなかったっけ)。

  * R a i c e s
L o s T i g r e s D e l N o r t e
[ F o n o v i s a ]

 コンフントに深い愛情を注いでいるわたしの友人によれば、最近のテキサスでは、主にダンスに主眼を置くコンフントに対して、演奏を聞く事に主眼を置くノルテーニョが台頭しているとのことです。
 ノルテーニョの隆盛は近年のアメリカにおけるヒスパニック人口の増加傾向とも関係あると思う。
 それに、最近のHacienda やFreddieの新譜は、ノルテーニョのアルバムが多い傾向にあります。そのなかの2枚が今回の候補に上がっています。

* S i x P a c k
S i g g n o
[ F r e d d i e R e c o r d s ]
siggnobiopic.jpg


* C u i d a d o
S o l i d o
[ F r e d d i e R e c o r d s ]
solidobiopic.jpg



 そのほかの候補は次のとおり。
  * M e E n a m o r e D e U n A n g e l
L o s P a l o m i n o s
[ U r b a n a R e c o r d s ]

* C o r r i d o s : D e f e n d i e n d o E l H o n o r
P e s a d o
[ W a r n e r M u s i c L a t i n a ]

今回はこんなところで。








Linda Escobar(3) [テックスメックス]

LindaEscobarLaDivaDeConjunto2.jpg

 今回取り上げるのは、Linda Escobar、2008年に発表した新譜、"La Diva De Conjunto"(コンフントの女神)。
 以下から入手できます。

http://www.tejanoclassics.com/Merchant2/merchant.mv?Screen=CTGY&Store_Code=tjc&Category_Code=ESC

 彼女は、メジャーレーベルからアルバムを出してはいないけれども、十分にその実力を持ち合わせているアーティスト。
 彼女とほぼ同じ世代(多分ヒスパニック系と思われる)で、メインの使用言語が英語であるTish Hinojosa やRosie Floresが、米国ポップスのメインストリームからの影響を直接受けているのに対して、スペイン語が主要な使用言語であるLindaは、父親が音楽家だったということもあり、コンフントという音楽環境の中で自らの音楽を育んでいきました。
 Tish Hinojosaが英語教育を受けて育ち、アングロアメリカンやユダヤ人のシンガーたちが歌うフォークソングに魅せられ、プロの音楽家になってから自らのアイデンティティを発見するために外側からコンフントに接近していったのに対し、Lindaは、内側から自分自身の音楽としてコンフントに対峙していった、と捉えることができます。

 このアルバムは、La Kreazionというコンフントとの共演となっており、メンバーはJohn Eguia(アコーディオン、セカンドボーカル)、Frank Eguia(バホ・セクスト、セカンドボーカル)、Tony Luis(ベース)、Benny Adame(ドラムス)。基本的なサウンドは、Tony De La Rosaスタイルのアコーディオンを中心とするオーソドックスなコンフント、といった印象です。

 このアルバムではメキシコや南テキサスで古くから歌われている曲が多く取り上げられており、全体的にゆったりとした曲調が多い。
 ポルカの曲でも、リズムのキープはさすがとしても、聞き手にゆとりを与えてくれる、おおらかさがあります。
 例えば、Los Alegres de TeranやRamon Ayalaのレパートリーとして有名な、9曲目の"Te Vas Angel Mio"(You Leave my angel : 私の天使を残してあなたは去っていく)は、もともとスローなワルツ。Lindaは、小手先のアレンジを排し、正面からこの曲に取り組んでいます。
 Los Alegres de TeranやRamon Ayalaのリズム感覚の形成には、それぞれの風土的・時代的な必然性もあっただろうし、そうした音楽的土壌のなかでそれぞれ独自なリズム(テンポ)や表現を培ってきたのだと思います。
 そんな、時代がかった、ゆったりとした昔の曲を、ずっと新しい世代のLindaが取り上げるのはそれなりの理由があるでしょう。

 Los Alegres de Teranの"Te Vas Angel Mio"はこんな曲です。

 http://jp.youtube.com/watch?v=BuUmJLz8cUg

 Los Alegres de Teranのレパートリーからはこの曲のほかに、2曲目、"Renunciacion"も取り上げています。

 4曲目の"Amor Bonito"は2007年12月20日に亡くなった、故Lydia Mendoza のレパートリ−から。この曲は、Little Joeをはじめ多くのアーティストに歌われたスタンダード。Lindaは正攻法で取り組んでいます。

 8曲目、"La Martina"はメキシコの歌曲(だと思う)。Youtubeで調べたところでは、Irma Serranoのレパートリーと思われますが、いろいろありました。Lindaはワルツのリズムをポルカにアレンジしてさわやかに演奏。

http://jp.youtube.com/watch?v=foY5YKN7zNU
http://jp.youtube.com/watch?v=jonhuGGVk7E
http://jp.youtube.com/watch?v=9M7oYoxkHGI&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=A6gpwNs3yaY&NR=1

 そのほか、Jose Alfred Jimenezのレパートリー、オリジナルなどもあり、自らの音楽を歴史的視点から捉えようとする姿勢が伝わってきます。

 全体的に、バランスが非常によく、ひとつひとつの曲が、細部に至るまでよく考えられてアレンジされている、といった印象を受けます。

 そして最後に、なぜかBob Dylanの曲"It ain't Me , Babe"が収められています。

Dylanの演奏は以下のとおり。

http://jp.youtube.com/watch?v=PCvVNAtaiUg

 Lindaによるアレンジはテキサスカントリー風でかっこいい。


 しかし、なぜアルバムの最後の曲を"It ain't Me, Babe"にしたのか。
 いろいろ理由は考えられるけど、例えば、Lindaはこの曲と、その前に入っている"Te Vas Angel Mio"を対比したかったんじゃないか、ということがひとつ。
 歌詞を、ここで詳しく比較・分析できる余裕はありませんが、なんとなくそんな気がしました。

 あるいは、"It ain't Me, Babe"の歌詞がいまのLindaの心境にあっているのかもしれない。

 こんな具合にいろいろな憶測をすることができます。

 参考までに、Te Vas Angel Mioの歌詞を紹介します。概ねこのCDのヴァージョンと同じですが、一部違うところがあります。

Te vas angel mio,
ya vas a partir,
dejando mi alma herida
y un corazon a sufrir.

Te vas y me dejas,
un immenso dolor,
recuerdo inolvidable,
me a queda doler tu amor.

Pero ay cuando vuelvas,
no me allaras aqui,
iras a mi tumba y alli rezaras por mi.

Veras unas letras escritas alli,
con el nombre y la fecha,
y el dia que en falleci

 いずれにせよ意外な曲をアルバムの最後で取り上げる、という点で彼女の個性を読み取ることができる、ということはできるでしょう。

 彼女のアルバムは、たいていなんらかのメッセージが託されていて、このアルバムも例外ではありません。
 サウス・テキサスのあるひとつの共同体から生まれた音楽、Conjuntoについて、それを外部から理解しようとするとき、彼女の果たす役割は、とても重要であると言わざるをえません。

 なぜなら彼女が発するメッセージはConjuntoのひとつの現実を示しており、わたしたちはそれを理解することができるからです。

 このアルバムは、彼女の他のアルバムと同様、そうしたメッセージが託されたアルバムとして貴重かつ優れたアルバムである、と言えると思います。







 



 

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第5節のまとめ [テックスメックス]

 第5節は、1960年代に登場したOrquestaにかかわるアーティストを中心に取り上げました。

 1960年代に流行したR&Bやソウル、ロックンロールの影響を受けたテキサスのメキシコ系ポピュラー音楽と捉えることができます。

 2007年12月から始めて、2008年11月に最後のアルバムを取り上げたので、ちょうど1年かけて本節を進めてきたことになります。
 取り上げたアルバムは9枚、ブログの数はお詫びのことばも含めて18。
 本節でOrquestaをテーマに選んだのは、わたしの意志というよりは、複数の知り合いのかたがたから、このテーマを取り上げてくれ、というリクエストがあったからです。

 なかでも、独自の思想ををもって農業を営んでいる、そしてOrquestaに対して深い愛情をもっているサユールイトシロさんより、熱心なリクエストを賜りました。

 Orquestaのアルバムを収集している熱心なコレクターの方々からみれば物足りないラインアップかもしれませんが、自分なりにOrquestaというものを整理したい、という思いもあり、1960年代Orquestaを取り上げてみることにしました。そして、ぶっちゃけていえば、CDをポツポツ買いあさっているうちに、なんとなくこれで進行できるかな、と思って見切り発車したのが、この第5節というわけです。

 最初に考えたのは、たまたま手元にあるCDの多くが、おもに1960年代から活動を始めたRuben & Alfonso Ramos兄弟、Johnny Hernandez、Sunny Ozunaのもので、しかも1980年代後半から1990年代はじめにかけてレコーディングしたアルバムという点で共通していたので、それをひとつのテーマにしてみようということでした。つまりベテランアーティストが、デジタル録音の時代に、どのように対応したか、ということです。
 これは、いま考えると、フルオーケストラのスタイルをとっていた多くのラテン音楽が、ホーンセクションを排して、シンセサイザー等に置き換えていった時期に対応しているように思えます。このテーマについては、本節第60回目に取り上げた、Latin Breedのアルバムもそのテーマから捉えることができます。

 以上のラインナップで避けて通れないアーティストがLittle Joeなのですが、ほとんどCDはもっていませんでした(アナログ盤はもっています)。たまたまオンラインショップで1970年代、Freddie時代のベスト盤を見つけたので、誠に申し訳ありませんが、これでお茶を濁そうとしたところ、深みにはまってしまいました。
 その内容については、本節で6回にわたって記しましたが、彼の音楽については、このベスト盤CDを聞き込む事により、分析を試みました。

 Little Joeを調べていくうちに、カリフォルニアのメキシコ系音楽にも触れたほうがよいかな、と思い、重要アーティストのCD紹介を検討しましたが、結局この案はテーマからはずれ過ぎるので、却下することにしました。

 今回取り上げたCDのなかで、Sunny Ozuna のCD、"Sunny's Gold"は、思い出深いアルバムとなってしまいました。
 実は、このCDは1980年代後半か1990年くらいにかけて入手したものですが、このCDを絶賛していたのが、今年の11月に亡くなられた、音楽評論家・ミュージシャンの、山崎直也さんでした。このCDが出た当時、東京江古田の喫茶店で、このアルバムを熱っぽく語っていた彼が甦ってきます。

 この節を1年かけて進めっていった過程で、感慨深いできごとが少なからずありました。
 2007年12月20日、偉大なシンガー、Lydia Mendozaが高齢で亡くなりました。Little Joeも彼女の曲をレパートリーにしているし、その影響力は多大なもの、といわざるをえません。
 そして、2008年の2月には、東京、江古田のレコード店(むかしは喫茶店だった)、クランが閉店しました。この店で、多くのテックスメックスファンと知り合い、その中に、山崎直也さんもいらっしゃったのはいうまでもありません。そして、そのうちの何人かとの付き合いは、近づいたり離れたりしながら、今日まで続いています。

 Latin Breed、Augustine Ramirezの選択は苦肉の策ですが、いま思うと聞いてよかったと思っています。
 多くのOrquestaが、Temple, Dallas, Corpus christy, MacCalenなど、San Antonioを軸としてみると、その周辺地域に位置し、そこから多くのアーティストが輩出している、という状況が厳然としてあるのですが、そうしたなかで、Latin Breedは、Sunny Ozunaとともに、San Antonio出身ということで興味深いものがありました。
 Augustine Lamirezは、オリジナリティーに溢れる孤高の音楽家というイメージで、Isidro Lopezと共通したテイストを感じます。

 最後に結論めいたことをいえば、Orquesta, La Onda Chicana, Musica Tejanaは、テキサスのメキシコ系住民にとってのポピュラー音楽であり、それは民衆の心を歴史的に反映している音楽である、ということでしょうか?

 漠然としていますが、何枚もCDを聞いていると、なんとなくわかってきます。

 今回、第5節を運営していて、反省点は多々あります。現時点のレベルで出来る限りのことはしたつもりですが、La Onda Chicana を明確にしていない、とか、60年代、といいながら、80年代90年代の録音まで取り上げてしまい、焦点が定まっていない、など、多くの宿題をたくさん抱えてしまいました。これらは後日の課題として、粘り強くフォローしていこうと思います。

 次回、第6節は、すこし軽い感じで、最近入手したCDの紹介、そしてそのあと、第7節でアコーディオンをクローズアップしていきたいと思っています。

 最後に、根気づよくわたくしのブログにおつきあいくださった読者の皆様に、心からのお詫びと御礼を申し上げたいと思います。

 
 
 

 
 

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