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Little Joe(3) [テックスメックス]

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 はじめに、この5月8日から10日まで、サンアントニオにて第27回コンフントフェスティバルが開催されました。

 概要については、以下をご覧ください。

 http://www.guadalupeculturalarts.org/xicanomusic/tcfsched.htm

 またmixiの会員のかたは日本コンフント協会のコミュニティーをご覧ください。

 http://mixi.jp/view_community.pl?id=551700 

 しょうちゃんのブログにも写真あり。

 http://blogs.yahoo.co.jp/conjuntooyaji

 さて本題。だいぶ遠回りをしてしまいましたが、ようやくLittle JoeのCD紹介に入ります。

 すでに触れた通り、1970年代の彼は自らのレーベルを立ち上げ、独自の活動を行うようになっていくことになりますが、同時に、同時期、ConjuntoやMusica Tejanaを中心とするレーベル、Freddieを立ち上げたFreddie Martinezとの関係も深くなっていきます。

 彼らの関係は、基本的にはディストリビューションにおいてのみの相互協力で、いくつかのアルバムでFreddie制作によるアルバムがある、といったところでしょう。

 Freddieのホームページは以下のとおり。

 http://www.freddierecords.com/

 現在、Freddieで入手できるアルバムは以下のとおり。

 http://206.188.209.228/index.asp?PageAction=VIEWCATS&Category=105

 彼のディスコグラフィーは以下のとおり。
 Little Joeの場合、ライセンスが結構ややこしくて、Freddieでも以下のほかに、いろいろ編集盤が出ている可能性があります。

 http://www.peermusic.com/littlejoe/littlejoe.cfm?includepage=littlejoebio.cfm

そして彼のアルバムから、"Exitos Rancheros"," Caliente","Mas Caliente","Nosotros","Manana","Live For Schlitz vol 1", "Live For Schlitz vol 2", という7枚からの選曲。ただし、これらのアルバムのなかで、"Nosotros","Manana"の2作以外は、すべてがベストアルバム的な性格を持っているというややこしさで、ベスト盤のベスト盤という、いかにもラテン的・ラビリンス的なアルバムです。

 では、CD紹介。彼の代表曲といわれる名曲から。

 2枚目の1曲目、"Las Nubes(The Clouds")です。

http://www.imeem.com/erj1414/music/HMNgmFPJ/little_joe_y_la_familia_las_nubes/
 
 この曲は彼のオフィシャルサイトのテーマソングでもあります。

 http://littlejoeylafamilia.homestead.com/

映像はこんな感じ。

 http://jp.youtube.com/watch?v=OoS3Rim5kVk&feature=related

 1980年代に入ってからの演奏かもしれません。70年代の演奏については、Arhoolie制作の映画"Del Mero Corazon"から。最後のほう、少しだけ聞けます。

 http://jp.youtube.com/watch?v=LfJrEfeqiHU&feature=related

 実はこの曲"Las Nubes"は、彼らのオリジナルではありません。
 
 優れたコンピレーションアルバムである、"Tejano Roots"(本ブログ第3回目に取り上げています)、の24曲目にWally Armendarezのヴァージョン(こちらはワルツのリズムで)が収録されています。

http://www.arhoolie.com/titles/341.shtml

 これはIdealから1962年に出されたシングル盤。

 Wally Armendarezに関する資料は以下で調べてください。(Arhoolieのデータベースより)

http://www.fronteracollection.org/

 この曲以外でもLittle Joeの代表的な演奏曲はほとんどカバーで、Manuel Penaは彼のことを"Copy Cat"と揶揄しています。


 このCDでは、メキシコの大歌手で、ランチェラの名曲をたくさん書いた、Jose Alfred Jimenezの曲がなんと7曲も収録されています。30曲中の7曲だからこのCD全体の25%以上を占めている、というわけです。
 面白いのは、Jose Alfred Jimenezの曲において、Little Joeはかなり実験的な試みに挑戦していて、興味深い。メキシコのランチェラを、60年代A&M風にアレンジしたり、ポルカにしたり、と試行錯誤しています。

 そのなかで、1枚目の2曲目、"La Que Se Fe"は正統派の演奏で、Little Joeの代表的歌唱ともいえるでしょう。

 これはJose Alfred Jimenezの演奏。レコードから。

http://jp.youtube.com/watch?v=cgYAbqmCI98

 次はJose Alfred Jimenezではなく、同じメキシコの偉大な歌手、Pedro Infanteによる"La Que Se Fe"

http://jp.youtube.com/watch?v=5kjmK3_raAc

そのほか代表曲の映像、サウンドを網羅してみると。

 おなじみ"Cartas Marcadas"(1枚目の3曲目)

 http://jp.youtube.com/watch?v=09o74vBg2ck&feature=related

 "Por Una Mujer Casada"

 これも彼らの70年代の雰囲気がよく伝わっています。

http://jp.youtube.com/watch?v=-ZbYcr8VhxY&feature=re 

同じ曲をLos Alegres De Teranの演奏から。これがオリジナルかどうかは不明ですが、すごくいい。

http://jp.youtube.com/watch?v=RTiVWv4HMCA&feature=related


 あと重要な曲を網羅してみます。

 "El Alacran"(さそり)

 Tito Puenteあたりが演奏していそうな、かっこいい曲。オリジナルは誰かな?

 もちろんSteve Jordanのヴァージョンも有名ですね。

 この曲を取り上げたのは、Steve Jordan, Little Joe どちらが先なのでしょうか?

"Atotonilco"

  作者不明、だけど代表的演奏は勿論、Tony De La Rosa。

 Little Joeは Don Santiago Jimenezの曲もやっていて、"Al Cortar Una Gardenia""Margarita","Borrachera"の3曲(あとの2曲はメドレー)が収録されています。

 他の曲もいい曲ばかりで、しかもライブアルバムからもたくさん収録されているから、聞いてて楽しいアルバムです。

 これからLittle Joeを聞いてみようと思う方には、とりあえずこのアルバムか、あるいは上記の曲が収録されている他のベストアルバムをお勧めします。

 Little Joeについて、ようやく70年代に辿りつき、とにかくこのCDを紹介するところまで漕ぎ着けました。
 
 わたし自身がLittle Joeの紹介者として適任かどうか、と問われれば、正直いって自信はありません。ただ、「彼の音楽を育んできた音楽」を聞き続けてきた者として、そしてアナログレコード時代に多少彼の音楽を聞き込んだ者として、主に過去の記憶を蘇らせ、それに文献とWebの力を借りながら、ようやくここまでたどり着いた、というのがいつわりのない実感です。

 合計6回にわけてこの記事を書き続けて思ったことを記してみたいと思います。

 まず、このCDからよくわかるのは、Little Joeがかなり強くメキシコの伝統音楽というものに対してこだわりがある、ということです。
 Jose Alfred Jimenezの曲7曲のほかにもやはりメキシコの作曲家、Cuco Sanchezの曲を2曲取り上げています。またConjuntoの領域からも、Tony De La Rosa,Santiago Jimenez,さらにはLydia Mendozaにいたるまで、伝統的な楽曲を取り上げているのは興味深いところです。

 これは1970年代前半、米国全般にあったルーツ回帰的傾向を反映しているともいえます。またLittle Joeによるメキシカン・マーケット、チカーノ・マーケットを意識した選択、ともいえると思います。
 こうした自らのアイデンティティーについての意識と、そして彼が選択した60年代後半から70年代はじめの米国音楽の影響のもと作り上げたのが、彼の音楽、ということになります。
 
 Manuel Pena は、いわゆるOrquestaとよばれるホーンセクションを強調したバンド編成の音楽的到達点、そして終点としてLittle Joeを捉えています。

 彼以後、テキサスのポピュラー音楽は、Musica Tejanaと呼ばれることが多くなります。

 そうした時代を区分するほどの位置にいて、存在感を示したのが、Little Joe ということになるのでしょう。

 今回は、70年代までの彼の活動について、Chicanoという概念の意味合いも含めて、かなりざっくりとまとめてみました。
 彼の大きさを痛感した貴重な体験でしたが、不備も多々あり、今後の課題としたいと思います。



 

 

 

 

 





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コメント 4

吾妻虎太郎

deacon_blueさん nice、ありがとうございます。
by 吾妻虎太郎 (2008-06-08 21:11) 

ベアトラック

YouTubeの動画を見ていたら、ワクワクしてきました!w
ニューメキシコ州出張中にカーステレオでFMのチューニングをしていると、この手のローカル&マイナーFM局が実に多いことに気付きます。
by ベアトラック (2008-06-12 10:32) 

吾妻虎太郎

ベアトラックさん、ナイス&コメント、ありがとうございます。
コインランドリーはおもしろかったです。個人的体験もオーバーラップしました。
ニューメキシコ、とくにアルバカーキは、メキシコ系人権団体の活動が活発なので、いま注目しています。
by 吾妻虎太郎 (2008-06-12 19:23) 

ベアトラック

ヘェ~、そうだったんですか。全然知りませんでした。
ニューメキシコ州の出張はサンタフェをベースにすることが多く、アルバカーキには、着いた夜と帰国の前夜に泊まるくらいなものですから・・・
by ベアトラック (2008-06-19 10:55) 

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